「AWOMB祇園八坂」において、三崎由理奈 展「饗筵(きょうえん)/banquet」を開催いたしております。
会場となるAWOMB祇園八坂は、名代・手織り寿しで知られる京都のお寿司屋さん「AWOMB(あうーむ)」の3号店。
立地する石塀小路(いしべこうじ)とその佇まいからは、京都らしい「和」の趣きを感じさせられます。
そのなかで展開される「AWOMBしつらえ」は、日本の様式美を象徴する空間と言える床の間を、現代の若手作家が生み出す表現でしつらえることを通して、そこに連綿と培われてきた美意識をあらためて見つめる機会を創出することを目指されています。
その杮落としとして、本展を開催する運びとなりました。
お食事をされる方にのみご覧いただくことができる展覧会となりますが、京都らしい雰囲気のなか、AWOMB祇園八坂でしか味わうことのできない「手和え寿し(てあえずし)」とともに、ご堪能いただけましたら幸甚です。
AWOMB祇園八坂につきましては、京都在住のライターAIさんによる下記リンクの記事をご参照くださいませ。
「ELLE gourmet」
http://www.elle.co.jp/gourmet/hunter/kyoto_17_0627
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以下、プレス文書より。
三崎由理奈 展「饗筵(きょうえん)/banquet」
三崎は、行動を導いたり、遮ったりと私達の生活と密接に関係する両義的な存在の「壁」に着目し、【「壁」としての絵画】をコンセプトに制作活動を展開する作家です。その表現手法は、会場となる建築物やその空間の場所性から着想し、日本画に用いる画材をベースに、その場所ならではの素材を用いた「壁」としての絵画・インスタレーション作品によって空間を再構成するというものです。その行為は、古来より日本の建築空間において、行事ごとに空間が室礼(しつらい)されてきたことを表象すると同時に、その空間を一体的な絵画空間として観賞する対象へと変様させることを意図しています。
本展では、「饗筵(きょうえん)/banquet」と題し、日本の建築様式を残す和の空間において「もてなしの席」としてこの地域「石塀小路」を想起させる空間にしつらえます。一階と二階の釣り床にしつらえられた正方形の小さな絵画「縁」と「圓」は「石畳」を連想させ、また、二階の床の間にしつらえられた絵画「遠」の中心をつらぬく一本の線は「石塀小路」の路地空間そのものを暗示します。いずれの絵画も生成りの麻紐(神聖なもの)で四方を包むことで、神聖な場である床の間のしつらえとして、高台寺の境内地であり、圓徳院庭園の一部であったこの地域を象徴する作品として提示しようとするものです。
本展を通して、日本の様式美の一端にふれ、京都に残る文化に思いを馳せていただきながら、手和え寿しを味わっていただけましたら幸いです。
京都芸術短期大学専攻科で日本画を修了し、京都造形芸術大学大学院へ進学後、2009年に同大学にて芸術博士号を取得。同年には小豆島アーティスト・イン・レジデンス2009/autumnに招聘される。2011年にはドイツ・ベルリンへ単身渡り、ベルリン・ダーレム美術館や歴史的な建築物を活用したレジデンス施設でのグループ展、ギャラリーでの個展を多数開催するなど、現在はベルリンを拠点に日本とドイツを行き来しながらグローバルな活動を展開する。空間を活かした大掛かりなインスタレーション作品に定評があり、国内外で注目を集める若手作家の1人。