Sophia of Nick

Sophia of Nick

Sophia of Nick

Sophia of Nick

Sophia of Nick

ニックのソフィア

サイズ:193.9cm×291cm
素 材:卵、カーテン、額縁、押しピン
制作年:2007年

Sophia of Nick

size : 193.9cm×291cm
material : eggs, curtain, frame, drawing pin
2007

この作品では、絵の画面となる部分は、レースのカーテンのみで構成されており、その向こう側の展示壁面が透けて見えるようになっています。《ニックのソフィア》では、絵画としての平面は希薄となり、その代わりに、絵画を成り立たせるための額縁そのものの方が、絵画よりも物質の存在感を主張しています。(黄金色でアルミ額の安っぽい質感が、よりモノとしての存在感を引き出していると思います。)
また、花柄カーテンには、流れ落ちた卵が付着しています。この作品では、流れ落ちる卵の痕跡が、垂直の平面を見る人に暗示しています。しかし、絵画が窓であるという西欧絵画においては、その窓の向こうに、秩序づけられた空間が拡がっていることが前提です。しかし、《ニックのソフィア》では、窓としての絵画空間の向こうは、そのまま展示壁面でしかありません。現実の空間から、絵画空間へと見る人を誘う目印の額縁は、ここでは、安っぽい花柄カーテンの構造を支える、その名の通りの「枠」以上ではないかもしれません。花柄のカーテンは、描かれたカーテンではなく実物で、一部は額縁の外側にはみ出ており、現実の空間との関わりを暗示します。しかし、同時にそのカーテンが額縁の内側にもあるという理由で、現実のカーテンとは区別される存在にもなり得ます。
絵画は、二次元という規制をうけながらでしか成り立たない芸術ですが、しかし見方を変えれば、現実の空間に規定されることのない広がりを表現できるものです。